波を分かち合う人たちみんなが笑顔で過ごせるように、サーファー独自で作り上げてきたルールがあります。楽しく過ごすため、安全にサーフィンをするためのルール&マナーをしっかり守って、ピースフルなサーフィンライフをおくりましょう ! ! |


サーフィンの世界には「ワンマン・ワンウェイブ」というルールがある。一本の波に対してその波をライディングできるのはひとりというもので、「ライディングできる1人」というのは通常、その波のピークの奥から先にテイクオフしてきている人を指すのだが、「ドロップイン」「前乗り」と言われているものは、すでにテイクオフしてライディングをしてきているサーファーの進行方向の手前、つまりショルダーからテイクオフしてしまうことだ。波を崩してしまうし接触したりしたら大変危険だ。特にブレイクする場所が限られるポイントでは、このルールが特に重要となってくる。これは世界共通のルールで、たとえばサーフィンのコンテストではペナルティを科せられて、まず勝ち上がることは不可能となるほど重い反則扱いだ。
*ドロップイン
=他のサーファーがライディングを始めているのに、同じ波にテイクオフしてしまうこと。
*テイクオフ=
=パドリングで波を追いかけてライディングを始めるために立ち上がること。
*パドリング
=水上を移動するために行う動作のこと。パドル。
*プルアウト
=自分の意志でライディングを中止し波の裏側に逃げるテクニック。


もちろんドロップインは論外だが、例えばライディングしてきている人の進行方向をふさぐような場所で波待ちしていたり、ゲッティングアウトの時に乗ってきた人のラインを邪魔してしまうのもマナー違反。乗ってきた人が避けなければひかれていしまうし、そうなれば軽くは済まない。だから誰かが乗ってきたら波がブレイクしていく方向と逆方向(ピークの方向)にパドルしたほうがいい。 数人の人が同方向に乗ってきている場合(いくつものドロップインが重なって)も実際はよくあるが、前に述べたように一番奥(ピークより)の人が優先権を持っている。その人よりピークに向けてパドルしていくようにしよう。でも万が一、あなたの存在で、乗ってきている人がライディングを中止してしまった時には、すぐに謝っておこう。また、スネーキングという行為がある。テイクオフしようとするサーファーの前を横切るようにピークの方向にパドルして、最初に追っていた人をブロックしつつその人より早くテイクオフしようとする行為で、先に追っていた人はワンテンポ遅れてしまうため、故意に行うとヒンシュクを買うだけでなく、トラブルのもとになるのでやめよう。波の合いというものは、現実の海の状況ではいたしかたないところもあるが、やはり他人の妨害をしてまで波をゲットするというのはよくない行為だ。ドロップインもそうなのだが、「人がやっているからいい」、「やられたからやってもいい」という考え方もいけないぞ。
*ゲッティングアウト=沖に向かうこと。


海の近くに駐車場がないからと路上に駐車する人がいるが、道路が混雑する原因になるし、海近くの道は狭いので、緊急車両の進入路をふさいでしまう場合すらある。第一地元の人たちにしてみれば、「自分の家の出入り口に違法駐車の車があって通れない」、「朝早くからうるさい」となれば、「サーファーは迷惑者」となり、一般の方にとってみれば、ビジターもローカルも見分けはつかないので、多くの場合地元のショップや、ふだんからそこでサーフィンをしているローカルサーファーのもとにクレームがいく。そんなことが続くとポイントはどんどん閉鎖的になり、ビジターの行きづらいところになる。ルールを守っている大多数のビジターにとっても悲しいことだ。ルールは絶対守ろう ! !


リーシュコードは必ず着けよう!
どんなアクシデントがあるかは分からないので、リーシュコードは必ず着けよう。特にロングボーダーの中には着けないことがスタイリッシュという考えの人もいたりするが、波に乗って流れてきたロングボードはほとんど凶器、大怪我の元になる。また、ワイプアウトはいたしかたないが、ボードは極力離さず、波任せで離してしまわないように。ドルフィンスルーに失敗した時も同様、ボードを離すと怪我をする場合もある。
周りを確認してからテイクオフ
なかなか波に乗れなくてイライラしていると、とかく無茶をしがち。例えばテイクオフしようとした時に、ライン上に人がいたら、涙を飲んでテイクオフを中止するくらいでいたい。自分なら抜けられると思う心に事故が待つのだ。また、ゲッティングアウトの時にはビギナーっぽい人の後ろにいないようにしておくと良い。ドルフィンスルーに失敗した人が降ってくるのも恐いものだから、周囲の人のレベルを把握することも重要だ。
*ワイプアウト
=ライディング中やテイクオフ時に自分の意志ではなくサーフボードから落ちてしまうこと。
*ドルフィンスルー
=パドルをして沖に向かう時に、サーフボードごと体を沈めて、波に押し戻されないようにするテクニック。


食べ物や飲み物のゴミをビーチに置いてくるのはサーファーとしてのみならず論外。できれば持っていかないのがベスト。持っていったとしても車まで持ち帰ってくるべきだ。自治体がゴミ箱を整備してくれているポイントもあるが、回収のタイミングまでにいっぱいになっていることも多く、風で飛んだり、動物が散らかしたりもするので、持って帰って捨てた方が良い。夏、オンショアが吹くと、沖に浮いていたり、沈んでいたゴミが押し寄せるのだが、こんな環境でサーフィンをするのが好きでないのなら、帰る時に一つだけでもゴミを持ち帰ってみるべし。みんなの努力で海はもっと綺麗になるはず!
*オンショア=陸から海に向かって吹く風。


ポイントブレイクの場所などではラインナップはエクスパートオンリーという場合もある。また、がっついて来た波すべてを追っかけていたりすると、感じは良くない。特にロングボードの場合、波を取りやすいのだから、波を譲るくらいの心構えでいた方が良い。たくさんの波に乗りたいのはみな同じなのだから、人のことを思い遣る気持ちはいつでもどこでも持っていたいもの。また、土地それぞれのルールというものもあるので、初めての場所に行く時には、なじみのショップや、波チェックをしている人などにポイントのことを聞いておくことをおすすめする。ロングボーダーとショートボーダー、ボディボーダーがみんなで波をシェアできるように、それぞれが思いやりの心を持つべきだ。なかなか波が回ってこないときには、ちょっと左右にずれてみるのも良い。人と競わないでいい波をつかめるかも。
*ポイントブレイク
= 地形とうねりのやって来る方向の為、LEFT、RIGHTどちらかの方向に規則的にブレイクするポイント。
*LEFT=岸から見て右方向に崩れていく波。
*RIGHT= 岸から見て左方向に崩れていく波。


群れをなして行動していると、たとえひとりひとりには問題がなくても感じが悪いものなので、大グループで海に行った時には数人で交代で入ったり、離れて入ったりすると紳士的だ。また、仲間数人で入っていて気分は最高盛り上がっていても、海の中での過度の大声や馬鹿騒ぎは感じが悪いので慎もう。また、「ヘイ」と声を掛けて、前乗りする人に注意を促す習慣があるが、これも度が過ぎると非常に感じ悪いので、最小限に抑えよう。こうしたマナーを守ることはもちろんだが、目が合ったら笑って会釈するくらいフレンドリーであれば、旅先でもそこから会話が進んで、色々なところでサーフィンを通じて友情を広げることもできるはずだ。話しかけて色々聞くということはポイントのリスペクトにもつながるのだ。きちんと周りのサーファーのことも思いやれ、ポイントのことを理解して、決して前乗りや他人の迷惑になるような行動をしなければ、色々なところでサーフィンの楽しみを満喫することができる。みんなも紳士的なサーファーを目指そう!


チャレンジはともかく、無理は禁物だ。海は決して楽しいだけの場所ではなく、波はいつも計算できるわけではない。台風の時、コンディションが悪い時こそ、海に入る前に必ずじっくり観察しよう。入っているサーファーがいたら、自分に置き換えて、自分だったらどうかシュミレーションするのもいいだろう。そして、これは無理だなと感じたらその日は海に入らず、エキスパートたちのライディングをじっくり見てみるのはどうだろうか?とても勉強になるはずだ。もし万が一流されたなどという事態になれば、多くの人にも迷惑がかかり、最悪の場合には命を落とすこともある。もっとも重いルール違反は海をなめることなのだ。くれぐれも肝に銘じてほしい。
